超個人的メモ

忘れたくない時間を記録する用。

「愛のレキシアター ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」梅棒オタク視点備忘

「愛のレキシアター ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ 」

行ってきました赤坂ACTシアター

鉄を熱いうちに打てないことに定評のあるこのブログ…いろいろ思い出して噛み砕いて文章に落とし込むまでに時間がかかるんですよね(あとファンレター芸人なので1番伝えたい相手に全部まくしたてちゃって、ブログ用にきちんとした文章にするのが後手になってるというのもある)。そんなわけで、もうすでに少し懐かしい気持ちですが、思い出を振り返るような感覚で読んでいただけたら幸いです。

 

さて、桜の咲き始める赤坂では、きっと誰のファンが見てもクスッとできるポイントがたくさんあって、とにかく楽しんでゲラゲラ笑ってるとあっちゅーまに3時間が過ぎる、ジェットコースターのような時間を過ごしました。ほんと、3時間回す人数じゃないんですけどね、マジで。でもこの人数でやってきたってこと自体に意味を持たせちゃう。面白いぜ。

 

 

物語はこの作品の全ての始まりであるレキシの池田さんの葬式の映像から始まります。池田さんの死を悼む人が集まって、彼の歌を後世に伝えるには!と考えた結果、ミュージカルという媒体に行き着く。そこで白羽の矢が立ったのが、葬式に訪れた“劇団シキブ”こと八嶋智人さん。その八嶋さんに全てを見守っていた池田さんが憑依をしたところで、ストーリーが舞台上に移ります。

 

舞台上では、35歳のクソ引きニートが自室で絶賛引きこもりを満喫している姿が。この引きこもりがなんと、山本耕史さん。そしてほぼそのようなことを序盤ストーリーテラーをしてくれる八嶋さん(憑依合体:池田貴史)が面白可笑しく話してくれるので、序盤は特に、メタ的な表現が頻発します。

このメタさが好きな人にはめちゃくちゃ刺さると思うし、ダメな人はとことんダメだろうなって感じ。個人的には、メタ的な部分と作品に没頭できる部分の線引きがしっかりしてたので、だいぶ好きでした。もうこれ完全に役者さんたちの力技って感じなんですけど、そもそも布陣が最強すぎる。


わたし、“この人がやるからウケる”ネタを客席全体に強要する感じのメタネタがすごく苦手なんです。身内だけが面白いやつ。それは“わかる人は更に面白い”と紙一重みたいなところがあると思うんですが、こっちは分からなくても面白くないと成り立たないんですよね。(梅棒はこれがたくさんあるから好き)(梅棒のオタクだからすぐ梅棒の話をします)

その差がもう本当に感覚の話なんですけど、今回は後者だった印象。というか本当にあんま頭使わずに笑えるんですよ。無茶苦茶するから。

 


閑話休題、ストーリーに戻ります。

 

クソ引きニートこと織田こきんは、ネットアイドル歴女、カオリコ様(松岡茉優ちゃん)に夢中。歴史の勉強も始めました。カオリコ様のブログに自分を偽ってコメントをした所、偽りの姿が認知を貰っちゃいます!すごい!一瞬で認知!クソ引きニートの自分を限りなく若くかっこよく…そんな妄想が生み出したその偽りの姿が、HNヨシツネ(佐藤流司くん)です。

ここで佐藤流司くんのお話を少し。

今回初めてお芝居を拝見しましたが、めちゃくちゃ2次元から飛び出してきたみたいな声、話し方、所作。彼の中の2次元みを全開放するとこんなかんじなのか、とパンフを読んで思いました。おそらく、ファンが求める姿をこれでもかと発揮しまくっているであろう人。

そしてその2次元みがめちゃくちゃに活きる今回の役。こきんの求めた理想の自分。幻の姿。ヨシツネさまは、カッコイイことに意味のある役なんですよね。それを惜しげも無く発揮して、かつ、面白くしちゃう。すごかったなぁ。日替わりのアドリブが毎回面白かったです。

そのヨシツネさまがカオリコのなかで気になる存在になった所で、劇団シキブ改め、ウォルト・レキシー(八嶋智人さん)がこきんとその母・胡蝶(高田聖子さん)、こきんを更生させるため織田家に出入りしていた引きこもりサポートネットワークの明智(藤井隆さん)を、自らが作り上げた夢の国、レキシーランドに招待します。


この夢の国、みんなのよく知る夢と魔法の王国に酷似していて、そこに年パスで通っていたオタクことわたくし、テンションバク上げ。

エントランスが完全に見たことある感じ(しかもとってもハピエスト)、キャストのユニフォームは入園して右回りでパークを歩いた時に最初に向かうエリア風(伝わってる人だけ伝わってください)。キャストの被る帽子についてるのは耳じゃなくてアフロでしたが、どこをみても知ってるテーマパークっぽい。親近感が半端なかったです。


レキシーランドはその名の通り、様々な時代を実際に体験し、歴史について学べる何でもありの夢の国。ここで、織田家とともに招待されていたカオリコを含め、様々な人間関係がぐるぐると展開していきます。

こきんの父であり、胡蝶とこきんを置いて家を出た将軍(山本亨さん)。 実は胡蝶の元彼だった明智。そんな二人の胡蝶をめぐる三角関係(?)と、

こきんと、その妄想の産物であり、なぜか夢の国では実体となって存在するヨシツネ。そしてそのヨシツネに恋するカオリコの三角関係(?)を主軸に、レキシさんの名曲とともにさまざまなアトラクションを観客である我々も体験出来ます。


牛車がパレードをしていたり(「牛シャウト!」)、江戸城キャッスルでお姫様体験が出来たり(「姫君Shake!」)。カオリコ紫式部光源氏の座をかけた帝たちのガチ蹴鞠大会(「SHIKIBU」)や、パーク内の茶屋で突如始まる、まるで本当のミュージカル(カオリコ談)のようなシーン(「古今to新古今」)では、客席も参加できるようなパートがあったり。テーマパークのショーオタク、梅棒の振付でテーマパークみたいな、観てるこっちがわくわくして踊りだしたくなるような感じが体験できて、もう本当に感無量でした。

 

レキシーランドはキャストも個性豊かでみんな素敵なんですよね。

トップはもちろん、創設者、ウォルト・レキシー。良くこの名前でGO出たな。
レキシーの腹心でかわいい担当のくノ一(井上小百合ちゃん)。さゆにゃんかわいい。にんにん。
もう一人の腹心、急病により無念の降板を余儀なくされたお侍ちゃんさんの代役(本人談)として急きょ殺陣師から抜擢されたダイザムこと代役侍(前田悟さん)。ダイザムが舞台に上がることになった経緯とか、そういうの作中で全部ネタにしちゃうんですけど、この、転んでもただでは起きない感じがずーっとあって、実はそれも話の根幹に絡めて来ちゃうんですよね。どこまで計算されてんのかな。すげえな。
そして、歌唱シーンであまりにも縁の下の力持ちな腰元さん(浦嶋りんこさん)。縁の下っていうか、この方のお陰でレキシさんのキャッチーな名曲たちがミュージカルの曲として成り立ってるというか、とにかく観るところ多すぎて意識が散漫になりがちな時、歌がスッと入ってくるのはこの方のお力がめちゃめちゃでかかった。みんな知ってると思いますが歌うまオバケ。最高でした。


そしてそして、アンサンブル枠。梅棒と愉快な仲間たち。

12人で3時間強の全てをこなします。本当に全て。歌って踊って芝居して、セットの転換までをこなすんですよ。12人で。本っ当に、誰かしらずっと居ます。

あとめちゃめちゃ着替えます。

基本はキャストユニフォームですが、牛になったり帝になったりネアンデルタール人になったり落武者になったりします。あとすいーつさんの織田こきん(幼少期)は大変に良い。それはそれは大変に良いひざこぞうです。そんな感じで早替えに次ぐ早替え。観てるこっちはいろんな姿が見れて超楽しいんですけど、これやってる方大変だろうなあ。


ここで、今回この舞台に梅棒が関わったことで感じたことを。

 

そもそも、余計な思考は一切いらない、理屈じゃなくて面白い!みたいなの、梅棒と相性が良くない訳ないんですよね。

東京千穐楽で、演出のたいらのまさぴこさんがおっしゃってましたが、「本当になんもかんも決まる前から出演者にオファーをし、受けてもらった」と。どうして梅棒がここまで深くかかわるポジションに呼ばれたのか。それの答えが、ステージ上すべてにありました。


「キャッチミー岡っ引きさん」で鼠小僧(カオリコ)相手にヲタ芸を打つところ。
「LOVE弁慶」で鴨川でシンクロナイズドスイミングしちゃうところ。
「古今to新古今」で突然ごりごりにミュージカルしちゃうところ。
「KMTR645」を一番アツい戦いのシーンに持ってくるところ。


わたしのよく知る、大好きな梅棒が、そのまま必要とされてたんですよね。この舞台に。

梅棒のファンが愛する、梅棒が梅棒たる要素というんでしょうか。そういうのが舞台に求められ、それをいかんなく発揮してるんですよ。もう、そんなの、ねえ。たまらんじゃないですか。


そういうのをステージの節々からいっぱいいっぱい感じて、ラストでエンディングにあの赤坂ACTシアターのステージ上に映し出される「振付 梅棒」の文字に感極まった人、きっとたくさんいると思います。わたしもその1人です。きっとそう遠くない未来、梅棒がまたここに連れてきてくれると信じてます。たのしみだなあ。

 

ストーリーに戻ります。ここまで書いといてアレですけどわたしストーリーなぞりながら文章にするの向いてないなこれ 。

 

1部では登場人物とその関係性を紹介しつつ面白おかしくレキシーランドでの時間を過ごします。

2部は再びこきんの部屋からスタートし、大量の一休さんが部屋に押し寄せ「一休さんに相談だ」を歌い始めるんですが、ちょいちょいこの、これ歌いたかっただけやんけコーナーが入るんですよ。その辺の無理矢理感も違和感なくて。その辺のバランスを保ってくれてるのが、多分、八嶋智人さん。すごいなあ、ほんと。

これ歌いたかっただけやんけコーナー(だと思ってる)も、山本耕史さんがグルービーに歌い上げる「僕の印籠知りませんか」とか、ネアンデルタール人のラップとダンスが最高な「旧石器ベイベ feat.ネアンデルタール人」とか、とにかく1曲の満足感が半端ないんですよね。音源が欲しいようT○Sさん…

 


そして物語は2部から急激に動き始めます。これも作中でレキシーが「急に芝居のテイストが変わる」って言っちゃうんですけど、ほんとそれ。

 

実体化し、こきんのポジションを乗っ取ろうとするだけでなく、世界を自分の思い通りにしようと歴史の改ざんをしまくるヨシツネ。

そして、パーク内に姿はあるのに一向に追いつけない将軍へ複雑な感情をくすぶらせる明智は、ヨシツネにそそのかされどんどん悪事に手を染め、歴史の改ざんに加担していきます。

そしてそして、カオリコは、ヨシツネに惚れ込んでいくのと同時にこきんを拒絶します。カオリコへの思いを自覚したこきんはそれに伴いどんどん自暴自棄に。


さあ、はたしてこきんは覚醒してヨシツネの手からカオリコを取り戻すことができるのか…!

 


そんな感じでヒートアップしていくなか、突如起きる腰元さん以下レキシーランド従業員による謀反!もとい、ボイコット!

そうです。ここで、過重労働をさせられていたアンサンブルメンバーたち、というのがそもそも設定だったことが明らかになるんです。いや、実際過重労働気味なので説得力がすごい。だって働き過ぎだもの。


この辺から、話がぐいぐい進みだすんですけど、小ネタも一切力を抜かない。

おもむろに竜馬の格好で福山雅治のモノマネをぶっこんできたり、新選組の恰好した佐藤流司くんに「総司!」って呼ばせたり。あんまり詳しくないんですけど、彼、沖田総司の刀やってたことあるらしいじゃないですか。そりゃもう、そんなん応援してる人が見たらたまんないですよね。あと、もうこれ本当心に残りすぎてるんですけど、山本耕史さんにね、土方歳三役をさせるんですよ。そんで、「待たせたな」って言わせちゃうんですよ。このシーンの初日のどよめき、忘れないぞ。最高でした。

そんなこんなでレキシーランドは2分化されていき、歴史改ざん派も巻き込みてんやわんやの大騒動!(わたしの話の集約が雑すぎるのは諦めてください)

 


その後、胡蝶に諭され本来の自分を取り戻した明智が、カオリコに拒絶され自暴自棄になったこきんを「自分で耕した土地は、無くなったりしない」と奮い立たせ(「墾田永年私財法」を歌い上げ)、ヨシツネとの決戦へと送りだします。

胡蝶の手によりちょっといい感じに整えてもらった、元クソ引きニートの織田こきんは、もはや見る影もありません。ちょっといい感じに整えてもらった姿で登場するだけで毎回拍手が起こってしまう山本耕史さん。すごい。もはや「ビシッとキメて出てくるだけで拍手が起こる山本耕史さん」という現象。すごい面白い。

 


こきんが整ったところで、レキシーがヨシツネは“こきんがつくりだした妄想上のもう一人の自分”であることを周囲に告げます。そこでヨシツネは己の野望を語り、邪魔になるであろうレキシーの首を飛ばす。ここで一旦レキシー死にます。その一部始終を目の当たりにし、真実を知ったカオリコは、ヨシツネを止めるというこきんを応援し、これまた絶妙なアレンジで「きらきら武士」を歌います。Deyonnaのきらきら武士大好きなんですけど、茉優ちゃんのもすごい良かったなあ。

 

その後「Takeda'」でザオリクされたレキシーが、物語のラストへとみんなを連れて行きます。

 

そしてついに最終決戦。アトラクション「大化のrevolution」で、蘇我入鹿となったヨシツネを迎え撃ちます。こきんは中臣鎌足なの?中大兄皇子なの?なんてやってるうちにヨシツネは舞台袖でツバつけといたらしいイルカガールズを使い、こきんを追い詰めます。どうなるこきん?!そんな絶体絶命のピンチの中、暗転明けに突如現れる、中大兄皇子を名乗る男。それは、こきんの父、将軍でした。アツい。このアツい展開。梅棒みを感じずにいられません。わくわくも止まりません。

将軍が中大兄皇子を名乗っているということは、こきんの役割、その名は……ここで爆音で鳴り響く「KMTR645」のイントロのギターですよ。もうね、こりゃ今から大勝負が始まるぞと。超高まるわけですよ。「中臣鎌足!!!」ってこんなにかっこよく言う人ほかに居ないよ。


もうこっからはごりごりに山本耕史VS佐藤流司。見どころしかないわけです。

なんか数重ねてるうちに将軍がこきんに向かって「一緒に蹴鞠で遊ぼうかァ!」とか言ってるとちょっと胸アツ過ぎて涙出てくるもんな。戦闘の合間に周りでわーわーしてるほかのメンバーは、ちゃんと横で「きゅっきゅっきゅー!きゅっきゅきゅっきゅー!」ってあの腕でQ作る振り踊ってたりとかして、もうこの、会場の一体感。ライブです。レキシさんのライブめっちゃ楽しそうだなあ。


梅棒と愉快な仲間たちが両サイドで梅棒メドレーみたいな振り踊ってるのも、超楽しかったです。そんでもって、ここでは山本耕史さんのギターソロが聴けちゃったりなんかして。いやあほんとに、1幕で「なるほど、山本耕史の無駄遣いを楽しむ感じね」って油断してると、2幕から怒涛の「お前ら山本耕史のこれがみたかったんだろオンステージ」が始まっちゃうんですよ。全部いい。ひたすらに、山本耕史さん、全部いい。1幕の気持ち悪さなんだったの?!ってくらい。

 

 

激闘の末、ヨシツネを消滅させることに成功したこきん。残るもう一つの問題は、胡蝶と将軍、そして明智の関係でした。

その決着をつけるシーンで胡蝶が歌い上げる「最後の将軍」。高田聖子さんが本当に素敵すぎる。胡蝶にとって、将軍との決別は、解放でもあったのでしょうか。…なんかそれっぽく言ったけど観てる最中そんなことあんま考えてなかったです。ただただ歌に聴き入ってました。明智に「やさしすぎたあなただからここまで来たの」って歌う胡蝶。最高なんですよ。

 

そして物語は最後のエリアに向かいます。

縄文エリアに着いたこきんとカオリコは、当時の、名前という概念さえ存在しない、ただ生きて、暮らしを営む縄文人たちの生活に触れ、自分たちも「お互いありのままをさらけ出した今、地に足がついてる感じがする」とこれからの未来に目を向けるようになります。


はい、ここで、縄文人たちとともに「狩りから稲作へ」で稲穂を振るグランドフィナーレです。


満員の赤坂ACTシアターが金色に染まっていて、ステージからの景色は壮観だったんじゃないかなあ。手に持ってるの稲穂なのに、感動的なグランドフィナーレとなりました。レキシファンの方々は、それはそれはしっくりきたんじゃないでしょうか。開演前からスタッフが稲穂についての注意をして回ってるのがなんかシュールで面白かったです。


このエリアでの時間をもってレキシーランドは閉園。エンディングでは、完全に好青年と化したこきんが、新選組!のポスターやペナントが貼ってあるすっかり片付いた歴史オタクの部屋から出てきます。もうな、非の打ちどころがなくなってしまった。ただのイケメンになってしまったよこきんは。素敵です。

そんなこきんをかわいい車で迎えにきたカオリコ。2人が古墳デートへ行くであろうシーンでエンディングです。


「古墳へGO!」に合わせて出演者も総出でカーテンコール。毎回びっくりしてましたが(頭が悪い)全員居るのに全然人がいない…これだけの人数でこれほどの密度の3時間強を作ってたのか、と最強の布陣に最大限の感謝を込めた拍手を送るラストでした。

 


個人的に、梅棒とテーマパークという好きのコラボが最高すぎだったことを差し引いても、随所で梅棒成分を浴びられて、最強すぎる出演者の方々に翻弄され、何でもありのお祭り騒ぎ、とっても幸せでした。

 

例のごとく、梅棒を通して出会うものみんな好きになっちゃうやつがしっかり発動したので、以来、レキシさん聴きまくってます。あーーーー楽しかった!終わった後に思わずこれが口にでちゃうエンターテイメントが大好きです。